出版社より献本御礼。
拙著〈「中卒」でもわかる科学入門〉と出版時期がかぶってしまったのが惜しい。本書の存在を知っていれば、同書で参考書に指定出来たのに。
本書「なんでもカロリー換算」は、私の持論でもあり、ゆえに〈弾言〉から〈「中卒」でもわかる科学入門〉でも繰り返し主張してきた「ナンボで考えよう」の実践本。
目次- 第1章 知っているようで、知らない「カロリー」
- 第2章 人間の体をカロリー計算する
- 第3章 人間の活動をカロリー計算する
- 第4章 ダイエットに役立つカロリー計算をする
- 第5章 発電のカロリー計算をする
- 第6章 新エネルギーをカロリー計算する
- 第7章 バッテリーをカロリー計算する
- 第8章 燃焼、爆発のカロリー計算をする
- 第9章 宇宙開発をカロリー計算する
取り上げられている物理量は、カロリー、つまり熱量、実はエネルギー、(相対論に)よって質量。もっとも身近で、根本的な保存量。
「中卒」でもわかる科学入門科学は「なぜ」を問う学問でもあります。古代ギリシアにおいても、天体の運行や物質の成り立ちを考える科学的思考の萌芽はあり、哲学者たちは「なぜ」を問い続けていました。しかし、哲学との境界が曖昧だった頃の「科学」と、現代科学の一番の違いは「なぜ」だけでなく、「なんぼ」も語るようになったということでしょう
そして同書でも指摘したように、「ナンボで考える」にあたって必要な数学は四則演算で十分で、本書にも四則演算しか登場しない。拙著の方が汎用的だけれども、その分実例数を減らさざるを得なかったので、不足分は本書を参考書として補ってもらえると嬉しい。
少しだけ複雑な心境になったのは、単位としてカロリーをも全面に押し出していたというかそうせざるを得なかったところ。身近という点においてはJはおろかWhにすら勝るけど、次元解析という点を考慮すると、もうちょいJというよりSI単位を売り込んで欲しかったという気持ちもある。未だにヤードポンド法が幅を利かせている米国はまあ別格といても、未だに「馬力」を用いているという点を見ても、日本においては「なぜ単位をメートル法(現SI)に統一するべきなのか」という点がきちんと強調されていないように感じている。実はWと同じ物理量だということを知らない人さえけっこういるし。車のカタログを見てみて下さい。ちゃんとkWが併記されてるはずですよ?
Jといえば皆がソラでkgm2s-2のことだとわかるようになってくれるといいのに…
一押しです。
Dan the Mass Blogger
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