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刑務所なう(1-2)
堀江貴文

まずはおめでとうございます。

「保護観察なう」――堀江貴文氏、仮釈放 ニコ生に登場 - ITmedia ニュース
旧ライブドア事件で旧証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われ、懲役2年6カ月の実刑判決を受けた堀江貴文 元ライブドア社長が3月27日、長野刑務所から仮釈放された。Twitterでの第一声は「保護観察なう」。

そして、この場を借りて献本御礼。

読破していない--まだできない--ので「書評」でなくて「紹介」。本記事はよって「読んでいない本について堂々と語る方法」の一応用例である。

本シリーズ「刑務所なう」は、日本随一の人気を誇る著者のメールマガジンの記事のうち、著者の服役中の期間分を単行本化したもの。読み進めると不思議な気持ちになってくる。入所後も変らぬ執筆ペースに、著者は本当に服役している--していた--のか、「エア入所」じゃないかという気持ちと、こんなに面白いのであれば自分も一度入所してみたいものだという気持ち、と。私自身も登場人物の一人でなかったら、読み切ってしまったのだろう…

ところで、著者をいつまで「ホリエモン」と呼び続けるべきなのだろうか。刑法犯の烙印を押された今となっては、それ以前は愛称であればこそ今や蔑称であるはずなのだが、著者をそう呼び続ける人にその意識はないようだ。そして著者自身、それをよしとしている。文字通り名をとって実を取り、「エッジ」を「ライブドア」にしたひとの面目躍如といったところか。

それでも、著者を未だそう呼ぶ人に、私はこう言わざるを得ない。

Get a life, of your own.

と。

もし彼の人生が読むに値すべき面白いものだとしたら、それは彼がそれを自分で著してきたからだ。もちろん徒手徒拳ではない。むしろ「自分の人生は自分で決める」と意気込んでいる人々が著者から学ぶべきなのは、引用すべきは引用すべきだということだろう。14年前に著者に「(弊社のCTOを)お願いします」と言われたとき、なぜYesといったのか当時の私ははっきりとはわからなかった。今ならわかる。自分だけでは書けない人生の一節を、どう自分のものとして引用するのかを、彼から学びたかったなのだ、と。

結局私はその点において、彼ほど上手になることも好きになることもなかった。しかしそれが時に必要であり、必要なときにはどうすればよいかはいくばくか学ぶことが出来たと思う。今私がこうして本記事を書いているのだって、その成果の一部である。

しかしそれでも、著者が著した人生は、まぎれもなく彼のものだ。

著者彼、堀江貴文が、文責を負っているのだから。

著者が世間に選ばせた「ホリエモン」という二つ名で著者をそう呼ぶのは、私にとって引用符抜きで彼の人生を援用しているように感じられてならない。そんなコピペブログのような人生に、スパムほどの価値もあるのだろうか?

少なくとも、それを孫引き曾孫引きするだけの価値は、ない。原典からいつでも引用できるのだから。

引用符。それこそが、「まねる」と「まなぶ」の違いではないか。まなびはまねびから生ずるけれど、くくらなきゃまなびにはならないのだ。

どこにいても、だれからも、まなぶ。

犯罪ではない以上、誰でもできるはずなのに、なかなか出来ないこのことこそ、著者から一番まなびたい。

dankogai