募集もかねて、思いつくまま…

英雄譚の主人公たちほど、「ただしイケメンに限る」ものはなさげに思える。物語中一番の美女美男ということはないにせよ、「ブサメン」な場合は少なく、「キモメン」に至っては、かえるの王さま」や「美女と野獣」のように「本当はイケメンなんでしょ?」という伏線である場合の方が目立つ。

英雄の条件は、やはり「イケメンに限る」のだろうか…

以下、「そんなの私が許さない」とばかり、そうでないと思われるお話をあげていく。容姿が醜ければ醜いほど高得点という条件。「美女と野獣」型はマイナス。

宮西達也「せいぎのみかた」

「見た目で判断するべからず」という寓意を作品化したものとしては、現時点ではこれが筆頭に来るようだ。

不勉強にも私は知らなかった。もう70万部も売れているそうだ。キモメン度は児童向けゆえそれほど高くないのだが、宇宙人ゆえ言葉が通じないというのとの合わせ技が光る。たしかに、容姿も言葉もメッセージには違いない。そのどちらも封じられたドラフラ星人の悲哀は老若男女関係なく心を打つはず。

えんどコイチ「死神くん」の心美人の巻

改稿された文庫版よりコミックス版の方がいいようだ。主人公自体は辛うじて「ブサメン」に分類できる程度で、この点だと点数低いのだけど、不美人であることを積極的に活用したという一点でポイントが高い。心美人度においては、女神クラスだというのは間違いない。


あさりよしとお「ただいま寄生中」

私が真っ先に思い出したのは本作品。

ヒロインの腹の中に潜伏する「真田十勇士」が、いざという時には尻穴から出てプロテクトスーツとなるという、よりにもよってキモいもの中筆頭に来る寄生虫をヒーローズにしたという意味でむっちゃポイントが高い作品。ただどうしてもかわいげが出ちゃうんだよねえ。本来生理的に無理なものが、絵のおかげで論理抜きで可能になっちゃうことは避けられないのだろうか…

木々津克久「フランケン・ふらん」

「英雄譚ではない」のだけれど、キモいものが大活躍するという点では本作品も外せない。「ただいま寄生中」が長期連載化されたらこうなっていたかも知れない。久宝刑事の立ち位置なんてモロ幸村いずみだし。ただ主人公の外見自体は縫い目とネジ(?)を除けばふつうの女の子だし、それ以前に本作は善悪の彼岸を超えちゃってるので、このカテゴリーからははみ出てしまうかも知れない。

まとめ

というわけで、まだ「これだ」は見つかっていない状態。「生理的に無理かつ論理的に可能」というからには、「見た目が不自由」ぐらいではぬるくて「正視不可能」ぐらいであって欲しいし、「論理的に可能」であるからには「他人は見た目が9割」をそげぶするぐらい痛快であってほしい。というわけで、これぞという作品があったら、ぜひタレコミを。

Dan the Blogger to the Bones

追記

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新世界より(Kindle/文庫版上中下)
貴志祐介

貴志祐介「新世界より」

私としたことが本作を取り上げ損ねるとは面目ない。「偽りの神に抗え」。

強いて難点を付けるとしたら、やはり神に抗った結果そのものということになるかな。ハンニバルは史実だからしかたがないけど、やはり「神によって書かれた神の話」という点において、「人」こそを主人公におくべきこのカテゴリーに本作を入れるのは偽りという気もする。