もう半年以上前ですか。

iPad以外の名前も知らずに
地に墜ちたシェアは8を待ちわびる

と謳われてから。

ひょんなきっかけで次女がSurface RTを手に入れたので、やっとわかりましたよ。いやあ、実際に触ってみないとわからないものです。

いかに、Windowsという希望が、デスクトップという呪いへと変貌したかが。

いや、いいんですよ、そこだけ見れば。キックスタンドもTouch Coverも。

でも、あくまでデスクトップコンピューターとして見た場合なんですよどちらも。

ところが、思いのほか使いやすいんですよ、窓も(ハードウェア)キーボードもない、すっぴんのSurface RTって。去年の終わりに危惧していたよりずっと。

デスクトップなしでも、きちんとやっていける。「でっかいスマフォ」でしかない Android Tablets よりもずっといけてる。当然ですよね。Windows Phone だって窓もキーボードもなくてもきちんと使えたのですし。やれば出来る子なんですよMicrosoftは。

なのに、

なのに。

なのに!

脱立体機動がもたらす、小さなものから大きなものまで動かす力を、デスクトップへのこだわり一つで無力化してしまった。

それが、 Windows RT の現状であり、Surface RTの現状です。

どんなアスペクト比でもいけるのに、16:9にしてしまった。

どんな向きでもいけるのに、Windowsボタンを長軸の真ん中につけてしまった。

どんな持ち方をしてもいいはずなのに、キックスタンドが机を要求する。

キーボードなんてなくても使えるのに、Touch Coverがないとドヤ顔できないようなことを中の人たちがはやす。

これが Surface Pro なら、まだ「Windowsなら仕方がない」と大人(らし)く納得も出来るのです。生暖かい風を手に当てるのはタブレットではなく便所のエアタオルの仕事ですが、あれはあくまでポータブルWindowsデスクトップなのだと割り切れば、大事なのはエロゲからオフィスまで、今までのWindowsソフトウェアという既得権がきちんと守られていること。その既得権がいかに切実かは、たかがスタートメニュー一つでこれだけの騒ぎになったことからも伺えます。

Windows Phone ですら、祖先が Windows CE だの Windows Mobile だのといった Windows という名を冠した製品である以上、 No Window でも Windows というのはやむを得ないと中年の私は飲み込めます。ヤマトのコスプレはもう沖田艦長しかないだろうってぐらい髭が真っ白な私でも、「ばかめ」とはとても返信できません。

でもね。

Surface RTには、そういう捨てられざる過去のしがらみはなかったんです。過去製品のユーザーという、最大の抵抗勢力おにもつはいなかったんです。失うべきものは何もなかったんです。

なのに、生まれたときからかけられてしまった。

Windowsという、呪いを。

デスクトップという、呪いを。

節子、それタブレットやない。デスクトップや。

それが不憫で不憫で不憫で不憫で不憫で不憫で不憫で不憫で…

とはいえ、覆水タブレットに返らず。今の私が危惧するのは、今日より明日のRTです。

ぶっちゃけ、今の Windows RT Tablets は、「二級Windows市民」の扱いを受けています。あくまで本命はRT抜きのWindows 8で、それでも冷却ファンも抜けるのはClover Trailが証明しています。私もそう思ってその内一つを購入しようかと手ぐすね引いていたのですが、いざ実物に触れてみると、一番肝心のタッチ精度がぐだぐだ過ぎです。スタイラス付きのものが多いのはそれをごまかすためなのではと下衆に勘ぐりたくなるほどに。

とはいえ時の流れとIntelはRT抜きのWindows 8の味方。全ての面でSurface RTを凌駕するWindows 8タブレットが出るのは時間の問題でしょう。次世代のSurface Proをも含めて。もうやめて、RTのライフはゼロよ…

そんなの私が許さないというには、Microsoftのモバイルデバイスのトラックレコードが悪すぎるのも事実です。そんな分けのわからない理由で、Zune HDが死んで、IS12Tがあんな目に遭って…

その意味で、RTにも8.1が来たのは、最後に残った道しるべでしょうか。ぱっと見、8.0との違いがわかりづらいのですが、IE11だけでニコニコ動画が全部見れたのには感嘆しました。動画もコマ落ちなし、弾幕もスムーズです。

しかしそれ以上に落胆もしたのです。

ぱっと見、Windows 8.1とRT 8.1になんの違いもありませんでした、なことに。

ばっさり捨てちゃいませんか、デスクトップ。

Office RTなんて不要です。方眼紙好きなえらい人にはそれがわからんのです。

そして、もっともっと軽くするのです。32GB SSDの半分がプリインストールで埋まっているなんて重すぎにもほどがあります。いっそ他社への供給もやめて、Xboxのように独占供給にしたらいかがでしょう。そうすればリカバリーのクラウド化も容易になってますます軽くできます。Androidとの抱き合わせとか、ここまで舐められて座視というのは、過日の苛烈なMicrosoftを知る者としては正視にたえない…

Surface RTがそれ自体どれほど素晴らしい製品でも、Surface RT2が出るという確信を得られないかぎり、人様にすすめるのははばかられるのです。

この御仁も言い残していたように、どれほど VaporMg が堅牢でも、今小学生の次女が大人になってもそのまま使いつづけているような代物ではないのです。スペックだけみれば、すでに陳腐化は始まってさえいます。iPhoneもiPadも、初代は「つづく」というメッセージがみなぎっていました。Surface RT、いやWindows RTに一番欠けているもの、それは「この方向に突き進む」という覚悟ではないでしょうか。

Dan the User Thereof