今年四冊目の拙著です。

我ながら「その口が言うか!」感満載ではありますが、本書自体失言によって生まれ、本書の制作もあえて放言を積み重ねるという方式で進行しました。とりとめのない私の放言を一冊にまとめてくれた内藤孝宏さん、齋藤瑶子さん、「本」当にありがとうございました。本書という「失言」の責任は私にあれど、それがきちんとまとめられ出版されるのは、彼らの功績です。

はじめに

本書は、私の「失言」に端を発します。

「今回はまだ書かれていない本について書く事にする。あればベストセラー間違いなし、柳の下にどじょうが何匹どころか入れ食い状態というそういう本なのだが、なぜかまだどこも出していない。それは、失言集」

 月刊宝島の連載で私がこうのたまったところ、待っていたのは次の反響でした。

 「だったら、おまえ書け!」

 それに対する答えは、「だったら書いてやる!」。

 本文で改めてふれますが、これ、失言雪崩の黄金パターン。

 失言を糊塗するために言を重ねるうちに、また失言…

 本書の成り立ち自体が、「失言リスクの拡大」のケーススタディーのようです。

 それでも火中の栗を拾うに至ったのは、その栗を私自身がどうしても味わってみたかったから。  読者のみなさんとともに。

 かつて失言とは、著名人の特権でした。「失」言というからには、失うべきものがあるということで、読んで字のごとく、それはそれまで培ってきた名「声」。声なき民にはそれがない以上、失言もまたありえない…

 ところが、今の我々は、「声ありき民」なのです。有名人でなくともブログは炎上し、SNS上の過去発言は、発言者本人が忘れた頃に発掘されまとめられリツイートされる時代。声を持つ誰もが、失言リスクと隣り合わせに生きているのです。

 敵を知り己を知れば、百言危うからず。

 本書が敵と己を知るきっかけとなれば、幸いです。

よろしければご笑覧を。

Dan the Author Thereof