オビを書いたのでここでも紹介。

本作、「図解・内臓の進化」は、「図解・感覚器の進化」に続く「図解・器官の進化」シリーズ(今勝手に命名)第二弾。

第1章 内臓の基礎知識
第2章 呼吸器系の進化
第3章 消化器系の進化
第4章 泌尿器系の進化
第5章 生殖器系の進化
第6章 内分泌系の進化
第7章 昆虫類の内臓

見ての通り、感覚器はない。つまり前著とかぶりはないということで、なるべく両方入手すること。

「なぜそれがそういうふうになっているのか」という設問は、ありとあらゆるところでぶちあたる。しかしその設問の答えが、「それ」だけから得られることはまずありえない。それを知るためには、「それは以前どうだったのか」という時間的差分と「それ以外のあれはどうだったのか」という空間的差分の両方が必要なのだ。なぜ差分がないとわからないかは、「図解・感覚器の進化」を一読すると一段と納得がいくはずだ。

本書はまさにそういう一冊になっている。進化という時間的差分に留まらず、昆虫という空間的差分ももってきたところが著者の面目躍如。呼吸器一つとっても、肺と気管ではあれほど違う。違うのにどちらも見事に機能している。

正直こういうこと、いやこういうものの見方こそ学校で教えてほしい。のだが、残念なことに学校は「今はこうだ」を教えるのに忙しくて、「どうしてこうなった」はほとんど教えてくれない。歴史ですら、「その時はこうだった」というスナップショットを提示するだけで、スライドショーではあってもムーヴィーになっていない。

だから「肺は魚のうきぶくろが進化したもの」とかいう人が出てくる。本当はどうなのか。ぜひ本書で確認を。

Dan the Man with Guts